家じまいに直面したとき、多くの人が悩むのは「何から手をつければいいのか」という現実的な問題です。本書『家じまいの哲学』は、家じまいを哲学の視点から捉え直す一冊です。「もしも古代ギリシャ哲学者だったら」という問いを軸に、片づけ・別れ・記憶・相続・未来への継承までを、実務と思想の両面から丁寧に描く。
目次
まえがき
“To study philosophy is to learn to die.” ― Michel de Montaigne
(哲学することは、死を学ぶことである。)
序章 なぜ「家じまい」が人生を映すのか
“The unexamined life is not worth living.” ― Socrates
(吟味されざる生は、生きるに値しない)
0.1 家じまいとの出会い
0.2 小さな引き出しを開けた日
0.3 人生を「吟味する」ということ
0.4 家じまいは「死の準備」ではない
0.5 実用的な第一歩
0.6 家じまいの哲学へ
章末コラム:小さなものに宿る大きな人生
実務のヒント:はじめの一歩を踏み出すために
出典
第1章 なぜ今、家じまいを考えるのか
“Man is the measure of all things.” ― Protagoras
(人間は万物の尺度である)
1.1 家じまいとは何か
1.2 なぜ今、家じまいが必要なのか
1.3 モノがあふれる社会と「尺度」の問題
1.4 家じまいは「未来への贈り物」
1.5 哲学から見た家じまい
1.6 心を整えるための第一歩
章末コラム:尺度を問い直す勇気
実務のヒント:家じまいを始める前に
出典
第2章 家じまいの心の準備
“For the wise man, a little is enough.” ― Epicurus
(賢者にとっては、少しで十分である)
2.1 「手をつけられない」という気持ち
― エピソード①「母の着物を前に」
2.2 “喪失”の痛みと“吟味”の喜び
― エピソード②「アルバムを開く父」
2.3 「持たざること」が与える自由
― エピソード③「子どもに任せない選択」
2.4 心の準備の実務的ステップ
2.5 方法を見つけるために
章末コラム:感情に折り合いをつける
実務のヒント:心の準備と向き合い方
出典
第3章 家じまいの方法と人生の秩序
“Well begun is half done.” ― Aristotle
(良い始まりは半ば成し遂げたも同然である)
3.1 始まりは人生を整える一歩
3.2 秩序のステップ ― 家じまいの哲学的手順
3.3 残すことと手放すことの意味
― エピソード「祖父の時計」
3.4 順序は生の秩序に似ている
3.5 家じまいは小さな宇宙を整えること
3.6 感情の壁をどう乗り越えるか
章末コラム:順序の知恵
実務のヒント:進め方と秩序をつくる
出典
第4章 感情の壁と向き合う
“The soul has three parts: reason, spirit, and desire.” ― Plato
(魂は三つの部分から成る――理性、気概、欲望である)
4.1 心が揺れる瞬間
4.2 プラトンの「魂の三分説」と家じまい
― エピソード①「古い食器棚を前に」
4.3 感情を抑えるのではなく、調和させる
― エピソード②「手紙を前に泣く娘」
4.4 「感情の壁」を超える実践的な工夫
4.5 調和の先に見えるもの
4.6 形あるものと、その背後にあるもの ― イデアの視点
― エピソード③「母のカップ」
4.7 イデアを意識すると、手放しやすくなる
4.8 感情の壁を超えるもう一つの道
4.9 心の調和から家族の調和へ
章末コラム:影を手放し、本質を残す
実務のヒント:感情の壁を乗り越える
出典
第5章 記憶を受け渡す
“The life of the dead is placed in the memory of the living.” ― Cicero
(亡き人の人生は、生きる者の記憶の中に置かれる)
5.1 記憶の川を前にして
5.2 受け渡す技法と対話
5.3 少なさが残す豊かさ
5.4 別れへの橋渡し
章末コラム:時間を超える贈り物
実務のヒント:記憶を受け渡す工夫
出典
第6章 別れと向き合う
“Death is nothing to us.” ― Epicurus
(死は私たちにとって何ものでもない)
6.1 避けられない別れ
6.2 死を恐れる心
6.3 文化としての別れ
6.4 家族との対話の中で
6.5 残すもの、手放すもの
6.6 未来へ視線を移す
章末コラム:死と別れをどう受けとめるか
実務のヒント:別れを受け入れる
出典
第7章 未来への贈り物としての家じまい
“The future is not ours, but hope is.” ― Augustine
(未来は我々のものではない。だが希望は我々のものだ)
7.1 未来を意識する瞬間
7.2 「希望を残す」という視点
7.3 現在と未来のバランス
7.4 文化としての継承
7.5 未来に何を託すか
章末コラム:未来を「所有する」のではなく「託す」
実務のヒント:未来への希望を形にする
出典
第8章 受け継ぐということ
“What you leave behind is not what is engraved in stone monuments, but what is woven into the lives of others.” ― Pericles
(あなたが後に残すものは、石碑に刻まれるものではなく、人々の生活の中に織り込まれるものである)
8.1 個人の営みから共同体の記憶
8.2 受け継ぐとは「モノ」だけではない
8.3 家族の会話が未来をつくる
8.4 文化と共同体に受け継ぐ
8.5 受け継ぐものを「選ばない」勇気
8.6 「生き方を受け継ぐ」という最も大きな遺産
章末コラム:受け継ぎとは「生きることの継続」
実務のヒント:地域社会に響く受け継ぎの工夫
出典
第9章 別れをどう受け入れるか
“Change is the only constant.” ― Heraclitus
(変化こそ唯一の不変である)
9.1 別れの痛みから、変化の受容へ
9.2 別れは「変化の証」
9.3 「抵抗」と「受容」の間で揺れる心
9.4 死と向き合うための予行演習
9.5 残るもの、消えるもの
9.6 別れは「感謝」への転換点
章末コラム:流れゆくものを受け入れる勇気
実務のヒント:家じまいと時間の流れ
出典
第10章 家じまいの終わりに、新しい始まりを
“Every new beginning comes from some other beginning’s end.” ― Seneca
(すべての新しい始まりは、ある別の始まりの終わりから生まれる)
10.1 家じまいは終わりではない
10.2 「空白」を恐れず受け入れる
10.3 関係性を編み直す
10.4 小さな始まりを選ぶ
10.5 人生そのものの縮図として
章末コラム:終わりが教える「生の循環」
実務のヒント:終わりから始まりへ
出典
最終章 「よく生きる」と「よく家じまいする」
“Not merely to live, but to live well.” ― Socrates
(単に生きるのではなく、よく生きること)
11.1 「よく生きる」とは何か
11.2 「よく死ぬこと」を考える
11.3 「よく家じまいをする」ということ
11.4 家じまいが示す「生と死の調和」
章末コラム:家じまいの哲学と「よく生きる」
実務のヒント:よく生き、よく家じまいするために
出典
あとがき 家じまいの先にあるもの
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家じまいの哲学をめぐって
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家じまいを哲学として考える意味
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もしソクラテスならどのように家じまいをするのか?
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著者から読者へのメッセージ
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謝辞
巻末付録 家じまい実務ガイド 目次
第1章 家じまいの基本ステップ
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家じまいの進め方と心構え
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心の準備
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小さな範囲から着手
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優先順位を決める
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残し方を吟味する
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定期的な見直し
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専門家の活用
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現場での小さな成功例
第2章 家じまいにおける不動産実務の要点
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不動産の現状把握
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売却か賃貸か、活用の方向性を決める
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売却の実務フロー
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相続との接点
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高齢者ご本人が売却する場合の留意点
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まとめ(不動産実務の視点)
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残置物の撤去とリサイクル
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家じまい後の生活設計
第3章 家じまいにおける相続実務の要点
〜家じまいの延長線上にある資産の行方〜
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相続は「家じまい」の延長線上にある
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相続登記義務化への対応
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遺産分割の実務
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相続放棄・限定承認の判断
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相続税・贈与税の基礎と対策
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実務に役立つチェックリスト
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相続を「争族」にしないために
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「税務とお金の整理」
第4章 税務・資金管理の実務
〜家を「お金」に変える。その後の生活を見据えて〜
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売却益にかかる「譲渡所得税」の基本
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譲渡所得の特例を活用する
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売却にかかる経費を正しく計上する
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残置物撤去とリサイクルの実務
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売却資金を「次の生活」に活かす
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税務・資金管理チェックリスト
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家じまいの「最終章」としての資産設計
第5章 専門家連携と実務フロー
〜「一人で抱えない家じまい」を実現するために〜
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家じまいは“チーム戦”である
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家じまい支援の主な専門家と役割
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家じまいの実務フロー全体像
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専門家の「連携モデル」:ワンストップ対応のすすめ
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現場からの実例
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家じまい専門家連携チェックリスト
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チーム家じまいの実践
