なぜ所有者が認知症になると家を売れなくなるのか???

知ってたら得するかもしれない?!不動産の話#5

今回注目するのは認知症と不動産の話です。
前回の<家族信託>の回でも少し触れましたが、
不動産屋目線でさらに掘り下げて解説していきます!

 

1.そもそも家を売るという事はどういうことか?


家を売る=家を買う人と売買契約を結ぶという法律行為をするという事です。

例えば家を1000万円で売りたい太郎さんがいたとします。

不動産屋を通して売り出したところ、

この家を買いたいという花子さんが現れました。

太郎さんの売りたいという意思と花子さんの買いたいという意思が合致しましたね。

そこで売主太郎さん、買主花子さんで売買契約を交わし、
花子さんは太郎さんに1000万円払い、家の所有権は太郎さんから花子さんに渡りました。

両者の意思が合致し契約を交わすという事は法律行為の一つです。

つまり家を売る=売買契約を結ぶ=法律行為をするとなります。

ここで注目するべきポイントは
法律行為は誰にでもできるのか?という点です。

答えは、”法律行為は誰にでもできるという訳ではない”です。

つまり、法律行為ができる者でなければ家を売ることができないという事になります。

2.法律行為が出来ない人とは?

法律行為は誰にでもできる訳ではありません。

さっきは売りたいと思っていて売買契約を結んだが、
今になってみるとどうしてそんなことをしたか分からない・・・

という「意思能力」がない状態で行った契約は「無効」となります。

この「意思能力」がはっきりしない状態で売買契約を結んでしまうと、
後々、売主は認知症で「意思能力がなかった」という事ともなれば
契約が無効になるばかりか
この取引を扱った不動産屋・司法書士ともに後から法的責任を問われる可能性があります。

認知症が中程度に進行すると「意思能力」がない状態として判断されるという見解もあります。

認知症の発症 → 意思能力を欠く → 法律行為が出来ない
= 売買契約を締結できない → 自宅を売却出来ない

となるのです。

また未成年、成年被後見人等の【制限行為能力者】にあたる人が行った法律行為は
後から取り消しできるという決まりがあります。

認知症を発症し、正常な判断能力が劣っているとされた場合
この【制限行為能力者】に該当する場合があります。

もし、判断能力が劣っている状態で売買契約などを結んでしまうとどういったことが起こるでしょうか?
もしかしたら、1000万円で売るべき家を判断能力が劣っているが故に10万円で売って大損してしまうかもしれません。

そういった事態を防ぎ、財産を守るために本人が行った契約を取り消すことが出来るとしているのです。

形式的に家庭裁判所の後見人等の審判開始をもって、
【制限行為能力者】となりますが、
審判が始まっていなくてもやはり、判断能力が劣っているがために本人が損をしたり
利害関係者のトラブルの元となりかねません。

ですので認知症になると所有している家を売ることができない、となるのです。

3.認知症と診断されたら、絶対に家が売れないの?

先ほどは、認知症を発症すると意思能力が欠いた状態となり法律行為ができなくなる
という話でしたよね。

ですが、認知症の症状は人それぞれです。
日によって違ったり、時間帯でも症状の出方は違うかもしれません。

判断能力がはっきりしている時になら売買契約を結べそうですよね?
また、後見人等の審査が開始されていなければ、制限行為能力者とは言い切れない、
と考える方もいるかもしれません。

実際の現場では売買契約を結ぶ際に司法書士が本人確認や売却の意思などを確認するのですが、
ここで本人確認が取れなかったり、売却の意思が確認できないと契約を結ぶことは出来ません。

ということは、、、
本人確認や、売却の意思が確認できれば売買契約が成立する可能性もある
かもしれません。

ですが、実際は司法書士に”認知症を発症している”という事実を伝えた場合、
売買契約を受けてくれる司法書士はほとんどいないでしょう。

なぜならば、本当は認知症の症状で意思確認ができない状態だった・もしくは確認をしなかった・・のに不動産移転登記などをしてしまうと
司法書士が法的責任を問われてしまいます。
そうなると今後司法書士として仕事が出来なくなってしまうので、そういった案件は受け付けないとなるでしょう。

ですので、売れる可能性が全くないというわけではないですが、
可能性は低い、と言えます。

4.成年後見制度を使ったら?

認知症などで判断能力が劣った人の財産を守る制度である成年後見制度ですが、
財産を守ることが目的ですので財産の処分である”売却”の許可を裁判所から得ることは難しいと言えます。

ここで、なぜ認知症になると家が売れなくなるのかをまとめると、

・認知症となると制限行為能力者となり契約という法律行為ができない
・契約時、司法書士の行う本人確認や意思確認が出来なければ、契約が結べない
・成年後見制度では裁判所の許可がもらえるかどうか分からない

という点で売却することができない、と言えるでしょう。

親が高齢になるといろんなことが心配になりますよね?
介護が必要になったらどうしよう・・・
その費用は?家を売って、費用に充てる?
施設を探す?それとも自宅に呼び寄せる?
親の家が空き家になったらどうすればいい?

もしも認知症を発症してしまったら、家の売却は難しくなり空き家になる可能性があります。
そうなると、相続の段階になるまで売ることが出来ず空き家として管理に手間と費用がかかってしまいます。
また、売却費用を介護費用に充てることもできません。

つまり空き家予備群の親の自宅売却を考えるなら早めに方針を決めたほうがいいと言えます。

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