【不動産・節税】不動産投資は節税になるって本当なの?

不動産投資は節税になりますし、節税とならないことも、、、

不動産投資は節税になるって聞いたけど、本当なの?
不動産に投資することの目的として、「資産を形成する」ことが第一かと思います。不動産投資をして損をすることを目的としている人はいませんが、節税を目的として行う人は大分見受けられます。不動産投資は節税になりますし、やり方を誤ると節税とならないこともあります。そのポイントを解説します。

 

不動産投資が節税になるポイントとして2種類あります。

不動産投資の節税ポイント1:相続税対策

不動産投資の節税ポイントとして絶大な効果を発揮するのは、「相続税」に対してです。特に節税の恩恵を受けるのは、「資産(現金等)を多く保有している人」です。

というのも、
相続税の詳細な説明は割愛させて頂きますが、
1億円を現金で相続する場合には1億円が相続税の対象になりますが、
時価1億円の不動産を相続する場合には一般的に評価額が下がり、評価額の5000万円が相続税の対象になります。※不動産の評価額が5000万円の場合。

また不動産を賃貸に出している場合にはさらに評価が下がること、ローンを借りている場合(負債)はさらに評価を下げることが出来ます。
現金を不動産に変えることで、相続税の圧縮が期待できますので、不動産投資の節税として効果を発揮すると言えます。

不動産投資の節税ポイント2:所得税・住民税対策

不動産投資の節税ポイントとして、所得税や住民税の還付・減額ということも出来ます。ただし、所得税や住民税の節税について恩恵を受ける人は「所得(給与収入等)の多い人」です。

また、不動産の選び方によって節税が出来ないこともあります。この辺りはしっかりと理解できていない人が多く、また不動産投資に失敗してしまった人はこの不動産の選び方を誤ってしまった場合やそもそも節税を目的とした不動産投資をしてはいけない人の場合がほとんどかと思います。

まずは、なぜ所得税・住民税の節税が出来るのかをしっかりと理解をするべきです。
持論ですが、
不動産投資は節税を目的としてはいけません。資産形成を目的とすべきです。
資産形成を目的とするからこそ、不動産投資による節税が大きな効果を生むのです。

不動産投資の節税:所得税・住民税

所得税をたくさん払っているのはもったいないから、不動産投資で節税できないかな?

このような動機で不動産投資を始める方が多いのではないかと思います。
前提として不動産投資で節税をする場合は、給与収入と不動産所得の損益通算を利用して、給与収入の黒字を不動産所得の赤字で目減りして所得を下げる事で効果を発揮します。

不動産所得を赤字にすればよいのなら、不動産は何でも良いのではないか?と思って不動産投資する人はおそらく失敗します。
不動産投資が所得税・住民税の節税になるメカニズムを不動産の選び方節税を狙える人に分けて説明します。

不動産投資の節税:不動産の選び方

不動産投資節税の醍醐味:減価償却費

なぜ不動産投資が節税になるのかの一番のポイントは不動産(建物部分)が減価償却費を計上できる点です。
減価償却とは「お金は出て行かないけど計上できる経費」で建物が年々劣化していくとみなして○○年間で建物の価値が1円になるように毎年経費計上して良いとされています。

例えば建物価格2,000万円の木造アパート(耐用年数オーバー)の場合は4年間で減価償却できますので、毎年500万円を減価償却費として費用計上が可能です。
耐用年数については、RC造や鉄骨造・木造等の構造によって決められています。
新築のRC造(建物価格4,000万円)の場合は耐用年数が47年ですので、毎年約85万円が費用計上可能です。

上記の例で耐用年数オーバーの木造は年間500万円、倍の値段の新築RCは年間85万円が減価償却費となっています。構造や築年数で減価償却できる金額が大きく変わるのがこの減価償却費のポイントです。

減価償却費についてもう1点ポイントがあります。
減価償却費を計上することで費用を捻出していますので、建物の価値(簿価)は減価償却した分減ってしまいます
つまり帳簿上の建物の価値は減少していますので、不動産を売却した際にはその分の譲渡利益が発生してしまいますので、譲渡税を支払わなくてはいけません。(減価償却は利益を繰り延べしているに過ぎないともとれます。)

例えば、4,000万円の不動産(建物2,000万円、土地2,000万円)を減価償却が終わったタイミングで同価格で売却した場合には、
売却価格4,000万円-帳簿上の不動産価格(2,000万円)=2,000万円の譲渡利益
が発生しますので、その譲渡利益に対して税金の支払いが必要になります。
(単純化しての計算です。経費などは未考慮)

減価償却は利益を繰り延べをしているだけにすぎないなら意味がないんじゃない?と思われるかもしれませんが、次に説明する「税率の違い」が不動産投資の節税としてもう一つ効果を発揮します。

不動産投資の節税:節税を狙える人

総合課税による所得税率と不動産譲渡税率

不動産投資の節税については、先に上げた「減価償却費」とこれから説明する「税率の違い」の2点をセットに考える必要があります。

所得税については累進課税を採用していますので、所得が上がれば上がるほど税率は高くなっています。例を挙げますと課税される所得金額が900万円を超える人(年収で凡そ1200万円を超える人)は所得税率33%、住民税率約10%ですので、併せて約43%の税率がかかります。
不動産譲渡税は分離課税を採用していますので、不動産の所有期間によって税率が変わります。短期譲渡と長期譲渡に分かれますが、短期譲渡の場合は約39%、長期譲渡の場合は約20%の譲渡税となっています。(譲渡した年の1月1日時点で5年超保有の場合に長期譲渡)

不動産の節税として効果を発揮するのは「税率の差」を利用することですので、
所得税率が高い人が長期譲渡の税率で売却することで効果が出ます。
上記の例では、所得税・住民税としての43%に対して、長期譲渡税では20%ですのでその差額分が節税となります。(単純化しています)

長期譲渡税との差が出るのは、
330万~695万円の人:30%(住民税含)
695万円~900万円の人:33%)(住民税含)
900万円~1800万円の人:43%)(住民税含)
1800万円~4,000万円の人:50%)(住民税含)
課税所得が330万円を超えている方は理論上節税は可能ですが、効果を発揮するのは税率の差が大きい課税所得が900万円を超えている方になります。

まとめ

不動産投資の節税のポイントは、
・相続税対策
・所得税住民税対策
に分けられ、
不動産の選び方」や「投資をする人」によって、効果的な節税が出来るのかあるいは出来ないのかといった点が変わってきます。
不動産投資では「この物件とこの方法が絶対に良い。」いったことはありえませんので、今の自分の状況ではどのような不動産投資が効果的なのかを考えてみるべきかと思います。
不動産投資には他の要素も多いに含まれていますので、くれぐれも節税だけを目的として不動産投資を始めないことです。