家を売るのは年内か年明けか、迷うのはなぜ?

家を売ることを考えていて、年内に売るか年明けにするか迷っています。税金のことを考えると、どちらかで違いが出るのでしょうか?

違いが出る場面はあります。ただ、それは「何月に売るか」ではなく、「どの年に売ったことになるか」で決まる部分が大きいんです。税金の区分も、特例の期限も、「年」を単位にして判定されます。
12月と1月をまたぐ売却では、年が変わる意味を知っておくと判断しやすくなります。この記事では、譲渡所得(家や土地を売って得た利益にあたる所得)の長期・短期の見方と、「売った年」の考え方を整理します。あわせて、確定申告の時期と2026年の基準地価の動きも、国税庁や国土交通省の情報をもとにまとめます。
「年内がよい」「年明けが得」という答えは出さず、判断の材料と考え方をお示しします。
税金の区分は「売った年の1月1日」で決まる
長期と短期は、所有期間5年で分かれる
家や土地を売って利益が出ると、その利益は譲渡所得として所得税・住民税の対象になります。税率は、所有期間が長いか短いかで変わります。国税庁によると、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です。
| 区分 | 判定のしかた | 税率(所得税・住民税などの合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で所有期間が5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で所有期間が5年以下 | 39.63% |
この税率には、所得税額の2.1%分の上乗せが含まれています。2026年分は復興特別所得税、2027年分以後は復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税(防衛力強化の財源にあてる税)1%です(2026年10月時点)。なお、マイホームには軽減税率の特例があります。売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えるなど、一定の要件に当てはまると受けられることがあります。
ここで大切なのは、基準が「売った日」ではなく「売った年の1月1日」であることです。所有期間は取得した日から数え、相続や贈与の場合は、原則として前の所有者が取得した日から数えます。税率や計算の全体像は、家を売るときの費用と税金はいくら?手元に残るお金を売却前に確認しようで詳しくまとめています。

えっ、売る日ではなく1月1日で決まるんですか?では、同じ年の1月に売っても12月に売っても、長期・短期の区分は変わらないということですか?

そのとおりです。同じ年のうちなら、1月でも12月でも、判定に使うのは同じ「その年の1月1日」です。違いが出るのは、売った年が翌年に変わり、判定の日が翌年の1月1日になるときです。
取得時期によっては、年が変わると区分が変わる
国税庁の説明にならって考えます。令和8年(2026年)中に売る場合、2020年12月31日以前の取得なら長期、2021年1月1日以後の取得なら短期です。同じ考え方で2027年に売る場合は、2021年12月31日以前の取得が長期の目安です。
| 取得した時期 | 2026年中に売る | 2027年中に売る |
|---|---|---|
| 2020年12月31日以前 | 長期 | 長期 |
| 2021年1月1日〜12月31日 | 短期 | 長期 |
| 2022年1月1日以後 | 短期 | 短期 |
境目にあたるのはどんなとき?
取得の時期が「2021年中」のように、ちょうど境目にあたる家は、売った年によって区分が変わります。取得した日の考え方は、売買契約書などの書類を手がかりに確認します。
「売った年」はいつ?引き渡し日と契約日の考え方
では、その「売った年」はどう決まるのでしょうか。国税庁によると、譲渡所得の譲渡の時期は、原則として買主に資産を引き渡した日です。そのうえで、売買契約の効力が生じた日(一般的には契約を結んだ日)に譲渡があったものとして、確定申告することもできます。
- 原則:買主に引き渡した日の属する年の所得として申告する
- 選択できる場合:契約の効力が生じた日(一般的には契約を結んだ日)の属する年の所得として申告する
たとえば、12月に売買契約を結び、決済と引き渡しが翌年1月になるとします。この場合、どちらの日を基準にするかで「売った年」が変わります。引き渡し日は、登記に必要な書類を渡したことなど、物件の支配が買主に移った事実から判定されます。原則として、代金の決済が終わった日より後にはなりません(所得税基本通達36-12)。

契約と引き渡しの間に年をまたぐ場合は、どちらの年で申告するかを自分で決められるということですか?

国税庁の説明では、原則は引き渡し日で、契約日を選ぶこともできるとされています。ただ、どちらを選ぶと区分や特例の判定がどうなるかは、物件ごとの事情で変わります。年をまたぐ予定があるときは、売買契約の前に税務署や税理士へ確認しておくと安心です。
確定申告の時期と、3,000万円特別控除の期限
申告は売った年の翌年2月16日から3月15日
譲渡所得の申告は、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間に行います。2026年中に売った場合の申告は2027年に行うことになります。令和8年分の具体的な日程や会場の運用は、国税庁の発表でご確認ください。
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除
自分が住んでいた家を売ったときは、譲渡所得から上限3,000万円を差し引ける特例(居住用財産の3,000万円特別控除)があります。所有期間の長短に関係なく使えますが、親子や夫婦など特別の関係にある人への売却は対象外です。特例を受けるには確定申告が必要です。
引っ越した後の家にも使えますが、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。
特例の期限は年末が区切り
この期限は「年の終わり」で区切られます。引き渡しや契約の日付が12月31日をまたぐときは、特例の要件に当てはまるかを事前に確認しておくと安心です。売った年の前年・前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けている場合などは、使えないことがあります。
2026年の基準地価と、売る時期の考え方
時期を考えるとき、相場の動きも気になります。国土交通省は2026年9月15日に、令和8年都道府県地価調査(基準地価、2026年7月1日時点)の結果を公表しました。全国の住宅地は平均で1.0%の上昇、東京都の住宅地は平均で5.8%の上昇でした。
ただ、基準地価(都道府県が毎年7月1日時点の地価を調べて公表する価格)は、調査した地点をもとにした全体の動きです。お持ちの家の価格がそのとおりに動くとは限りません。相場の見方や売り出し価格の決め方は、金利が上がるなか、マンションの売り時は?相場の見方と価格の決め方も参考にしてください。

日付や税金の仕組みがわかってきました。税金だけで売る時期を決めなくていいんですね。

はい、税金は判断材料の1つです。まず取得した日と住んでいた時期を書類で確認し、売買契約と引き渡しの予定日を並べてみてください。税務署や税理士にも確認すると整理しやすくなります。
売却の進め方や、売る時期の相談は、売却のご相談ページからお問い合わせいただけます。税金が関わる内容は、税理士などの専門家と連携してご相談をお受けしています。
まとめ
この記事のまとめ
- 譲渡所得の長期・短期は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで決まる
- 売った年が変わると、判定の日が変わり、取得時期によっては区分が変わることがある
- 譲渡の時期は原則として引き渡し日。契約の効力が生じた日で申告することもできる
- 譲渡所得の申告は、売った年の翌年2月16日から3月15日。3,000万円特別控除は、住まなくなって3年を経過する年の12月31日までの売却が要件のひとつ
- 2026年の基準地価で東京都の住宅地は平均で5.8%上昇だが、個々の家の価格を示すものではない
税金は、取得時期や特例の使い方によって結果が変わります。実際の判断は、税務署や税理士などの専門家にご確認ください。
※本記事の内容は、国税庁タックスアンサーNo.3202・3208・3211・3102・3302・3305・3314・1440、国税庁「所得税基本通達36-12」、財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」(令和8年5月)、国土交通省「令和8年都道府県地価調査」(2026年9月公表)を参考にしています(2026年10月時点)。
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