売却価格=手元に残るお金、ではありません

実家を売ることを考えています。査定では「5,000万円くらい」と言われたのですが、そのまま5,000万円が入ってくると思っていいんでしょうか?

実は、売却価格がそのまま手元に残るわけではないんです。売るときにかかる費用と、利益が出たときにかかる税金、それに住宅ローンが残っていればその返済を差し引いた金額が、最終的に手元に残るお金になります。
「思ったより手元に残らなかった」とならないよう、売り出す前に大まかな金額をつかんでおくことが大切です。この記事では、家を売るときにかかるお金の基本を順番に整理します。
家を売るときにかかる主な費用
売却にかかる費用のうち、多くの方に関係するのは次の4つです。
| 費用 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 売買価格400万円超なら「3%+6万円+消費税」が上限 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 | 1,000万円超5,000万円以下なら1万円(軽減措置) |
| 登記の費用 | 住宅ローンの抵当権を消す手続きなど | 登録免許税は不動産1つにつき1,000円+司法書士への報酬 |
| その他 | 測量、解体、引っ越し、家財の処分など | 物件や状況によって大きく変わる |
仲介手数料
仲介手数料は、売買が成立したときに不動産会社へ支払う報酬です。金額には法律で上限が決められていて、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限です。たとえば5,000万円で売れた場合、上限は156万円+消費税で171万6,000円になります。
なお、2024年7月からは、800万円以下の空き家などの売買について、不動産会社が受け取れる報酬の上限が30万円+消費税(33万円)に引き上げられています。価格の安い物件でも不動産会社が扱いやすくするための見直しで、この場合は事前に説明と合意が必要です。
印紙税
売買契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります。不動産の売買契約書には軽減措置があり、2027年(令和9年)3月31日までに作成する契約書が対象です。主な金額は次のとおりです。
- 500万円超1,000万円以下:5,000円
- 1,000万円超5,000万円以下:1万円
- 5,000万円超1億円以下:3万円
登記の費用
住宅ローンが残っている家を売るときは、売却代金でローンを返し、家に設定されている「抵当権(ローンの担保として金融機関が持つ権利)」を消す手続きが必要です。登録免許税は不動産1つにつき1,000円で、土地と建物なら2,000円です。このほか、手続きを依頼する司法書士への報酬がかかります。

費用だけでも、けっこうな金額になりますね。税金も必ずかかるんですか?

税金がかかるのは、売って利益(譲渡所得)が出たときだけです。しかも、マイホームなら大きな控除が使えることが多いんですよ。順番に見ていきましょう。
利益が出たときにかかる税金(譲渡所得税)
家を売って利益が出ると、所得税・住民税がかかります。ここでいう利益は、売却価格そのものではなく、次の式で計算します。
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
- 取得費:その家を買ったときの代金や購入時の諸費用など(建物は年数に応じて価値が減った分を差し引きます)
- 譲渡費用:仲介手数料や印紙税など、売るためにかかった費用
税率は「持っていた期間」で変わる
税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で5年以下 | 39.63% |
所有期間は「買った日から売った日まで」ではなく、売った年の1月1日時点で数える点に注意してください。数か月の違いで税率が大きく変わることがあります。
買ったときの金額がわからないとき
相続した実家などで、買ったときの金額がわからない場合は、売却価格の5%を取得費とする方法(概算取得費)があります。ただし、その分だけ利益が大きく計算されて税金が増えることがあるため、昔の売買契約書などが残っていないか、まず確認してみましょう。
マイホームなら「3,000万円の特別控除」

利益が出ると、20%以上も税金がかかるんですね…。うちの場合はどうなるんだろう。

住んでいた家を売る場合は、利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。利益が3,000万円以内に収まれば、税金がかからないケースも少なくありません。
この特例は、自分が住んでいる家(または以前住んでいた家)を売ったときに使えます。主な条件は次のとおりです。
3,000万円特別控除の主な条件
- 自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 親子や夫婦など「特別な関係がある人」への売却ではないこと
- 売った年の前年・前々年に、この特例などを使っていないこと
- 別荘や、特例を使うためだけに入居した家ではないこと
特例を使って税金がゼロになる場合でも、確定申告が必要です。申告しないと特例を受けられないため、売った翌年の申告時期を忘れないようにしましょう。
また、親が住んでいた実家を相続して売る場合は、自分のマイホームではないため、この特例は原則使えません。相続した空き家には別の特例がありますが、条件が細かく決められています。くわしくは相続・家族信託のコラムもご覧ください。
手元に残るお金の考え方
ここまでの内容をまとめると、手元に残るお金は次のように考えます。
手元に残るお金の目安
売却価格 - 売却の費用 - 住宅ローンの残り - 税金
住宅ローンの残りが売却価格を上回る場合は、そのままでは家を売れないことがあります。返済が苦しい状況なら、早めに任意売却という方法を検討することもできます。
東北沢・下北沢周辺をはじめ、世田谷区・渋谷区は物件ごとの価格差が大きい地域です。同じ広さでも、駅からの距離や道路の状況などで価格が変わるため、まずは売却価格の見込みを知ることが、手元に残るお金を考える第一歩になります。

売る前に全体の流れがわかって、少し安心しました。まずは、うちの実家がいくらくらいになるのか知りたいです。

それがいちばんの近道です。査定額がわかれば、費用や税金の目安も具体的に計算できますよ。
まとめ
この記事のまとめ
- 売却価格がそのまま手元に残るわけではなく、費用・税金・ローンの返済を差し引いて考える
- 主な費用は仲介手数料・印紙税・登記の費用。仲介手数料は「3%+6万円+消費税」が上限(400万円超の場合)
- 税金がかかるのは利益が出たときだけ。税率は売った年の1月1日時点の所有期間で変わる
- マイホームなら最大3,000万円の特別控除があるが、確定申告が必要
税金の計算は、取得費や特例の使い方によって結果が変わります。実際の申告については、税務署や税理士にご確認ください。アソシオでは、必要に応じて税理士などの専門家と連携してご相談をお受けしています。
※本記事の税制・手数料の内容は、国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」「マイホームを売ったときの特例」「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」、国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(2024年7月改正)を参考にしています(2026年10月時点)。
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