年末年始の帰省で、実家のことを親とどう話せばいい?

お正月に帰省します。実家の今後について親と話しておきたいのですが、何から切り出せばいいのか迷っています。

年末年始は家族がそろい、実家の話をしやすい時期です。いきなり「相続」や「家じまい」と言うより、「書類の置き場所を一緒に確認しておこう」という入り口が話しやすいですよ。
この記事では、帰省中に親と話しておきたいことをチェックリストにまとめました。名義の確かめ方、書類の保管場所、住宅ローン、空き家の管理と費用、親の希望の聞き方を順に整理します。相続登記の期限や相続土地国庫帰属制度(相続した土地を国に引き取ってもらう制度)も、最後に添えます。
話す前の準備:登記事項証明書で家の名義を確認する
親と話す前に、実家の名義が誰になっているかを子世代が先に確かめておくと、話が具体的になります。名義は、法務局で取れる登記事項証明書(土地や建物の持ち主などの情報が載った公的な証明書)で確認できます。
登記事項証明書でわかること
登記記録は土地や建物ごとに作られ、甲区には所有者が誰か、乙区には抵当権(住宅ローンなどの担保として設定される権利)のような所有権以外の権利が記録されます。名義が親本人か、祖父母のままになっていないかを確かめられます。
取り方と手数料
| 請求方法 | 手数料(2026年10月時点) |
|---|---|
| 法務局の窓口 | 600円 |
| オンライン請求・郵送で受け取る | 520円 |
| オンライン請求・登記所の窓口で受け取る | 490円 |
オンライン請求は「かんたん登記・供託申請」から行えます。請求には、住所(住居表示)とは別の地番(土地の番号)や家屋番号が必要になるため、権利証などで先に確認しておくとスムーズです。印鑑や身分証明書は不要で、所有者本人でなくても請求できると、法務局が案内しています。

登記を調べると、親に内緒で探っているようで気が引けます。

お気持ちはよくわかります。事前に一声かけて、一緒に確認すると安心ですね。見つけた内容は、親を責めるためではなく、家族で現状を共有するために使いましょう。
帰省で親に聞いておきたいことをチェックリストで整理
聞けるところから、メモや写真に残しながら進めてください。
帰省で話しておきたいことのチェックリスト
- 家の名義:登記事項証明書の内容を一緒に見て、土地と建物の名義が誰かを確認する
- 権利証(登記済証や登記識別情報の通知)の保管場所を教えてもらう
- 固定資産税の納税通知書と課税明細書の保管場所を確認する
- 住宅ローンの借入が残っているか、残っているなら金融機関名と返済予定を確認する
- 火災保険や地震保険に入っているか、証券の置き場所を確認する
- 今の暮らし方:この先も住み続けたいか、住み替えや施設への入居を考えているか
- 家が空いたときの希望:残したい、貸したい、売りたい、まだ考えたくない
- 家財や思い出の品について、残したいもの・手放してよいもの
- 困ったときに頼れる人(きょうだい、親戚、近所の方)と連絡先
書類は「場所」だけ聞けば十分
権利証や通知書は、中身を見せてもらうより、どこにあるかを聞いておくだけでも十分です。東京23区では、固定資産税・都市計画税の納税通知書に課税明細書が同封されます。都税事務所の案内では、この課税明細書が不動産登記の際には原則として評価証明の代わりに使えます。送付済みの納税通知書や課税明細書は再発行されないとも案内されているため、保管場所の共有は意外と大切です。
住宅ローンについては、借入が残っているかどうかを知るだけで、将来の選択肢が見えやすくなります。

全部を聞き出さなくていい、と思うと気が楽になりました。

その通りです。1回で完璧を目指さず、「今年は書類の場所」「来年は親の希望」というように、少しずつ進めて大丈夫です。
空き家になったときの管理と費用、そして親の希望
実家が空いたあとの管理も、あらかじめ家族で話しておきたいテーマです。
管理で話し合っておきたいこと
- 通風・換気、庭木の手入れ、郵便物の確認を、誰がどのくらいの頻度で行うか
- 遠方に住んでいる場合の、見回りの方法や費用の持ち方
- 固定資産税、火災保険料、水道光熱費など、空き家でも続く費用を誰が負担するか
- きょうだいがいる場合の役割分担
2023年12月に施行された改正空家法では、新たに「管理不全空家等」が定められました。放置すると「特定空家等」(倒壊のおそれがあるなど、周囲への影響が大きい空き家)になるおそれのある空き家のことです。市区町村の指導を受けても改善せず、勧告(改善を求める行政の通知)を受けると、住宅用地の特例(土地の固定資産税が軽くなる仕組み)が外れます。詳しくは実家を空き家のまま置くと固定資産税は上がる?管理不全空家と勧告の仕組みで整理しています。
親の希望は、聞いて受け止めるところから
家の話は、親にとって思い出や暮らしの話でもあります。結論を迫るより、「この家で好きなところは?」と聞いて、気持ちを受け止めるところから始めましょう。
話し合いのコツ
- 決めるのは、親の気持ちを聞いたあと
- 「急ぐ話ではないけれど、知っておきたい」という伝え方にする
- 話した内容は、メモして家族で共有する
実家の整理や処分の進め方の全体像は、親族に迷惑をかけない家じまいの進め方にまとめています。
知っておきたいこと:相続登記の期限と相続土地国庫帰属制度
話し合いとは別に、押さえておくと役立つ制度を整理します。
相続登記の義務化と期限
法務局の案内によると、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。相続や遺言で不動産を取得した人は、相続の開始と取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産も対象で、その場合は原則として2027年3月31日までです。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料(行政上の金銭的制裁)が科されることがあるとされています。
| 不動産を相続で取得した時期 | 登記の期限 |
|---|---|
| 2024年4月1日より前に知っていた相続 | 原則として2027年3月31日まで |
| 2024年4月1日以降に知った相続 | 相続の開始と取得を知った日から3年以内 |
遺産分割がまとまらない場合の手段として、相続人申告登記(自分が相続人であることを登記官に申し出る手続)も設けられています。期限内に申し出れば申請義務を果たしたものとされます。ただし、その後に遺産分割で取得した場合は、分割の日から3年以内に改めて登記が必要です。手続の流れは2027年3月末が期限の相続登記、親名義の実家は何から始める?で解説しています。

期限があることは知っておいたほうがいいですね。うちは名義がどうなっているか、まず確認してみます。

はい、登記事項証明書で名義を確かめるのが第一歩です。名義の変更が必要かどうかなど個別の判断は、司法書士などの専門家に相談できます。
相続土地国庫帰属制度とは
法務省によると、この制度は2023年4月27日に始まりました。相続や、相続人に対する遺贈(遺言で財産を譲ること)で土地を取得した相続人が、一定の要件を満たせば、土地を国に引き渡せる仕組みです。
- 建物がある土地、担保権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などは、申請そのものができません(却下事由)
- 一定の勾配・高さの崖があり、管理に過分な費用や労力がかかる土地などは、審査で承認されないことがあります(不承認事由)
- 審査手数料は土地1筆につき14,000円で、却下や不承認になっても返還されません
- 承認されたら、国有地の管理に要する10年分の標準的な費用を考慮して算定された負担金を納めます

いろいろな制度があるとわかっただけでも、少し安心しました。

そのお気持ちで十分です。まずは名義と書類を確かめて、親の気持ちを聞く。その先の進め方は、家の状態や家族の状況に合わせて一緒に考えていきましょう。アソシオでは家じまいのご相談もお受けしています。
まとめ
この記事のまとめ
- 帰省は、実家の話をするきっかけになる。まず「書類の置き場所の確認」から始めるとよい
- 家の名義は、法務局の登記事項証明書で確認できる。所有者本人でなくても請求できる
- 権利証、固定資産税の通知書、住宅ローン、保険、空き家時の管理と費用、親の希望をチェックリストで整理する
- 相続登記は2024年4月1日に義務化され、それ以前に相続を知っていた場合の期限は原則2027年3月31日
- 相続土地国庫帰属制度には、申請できない土地や費用があり、事前の確認が必要
実際の判断は、税務署・税理士・司法書士・弁護士などにご確認ください。登記の手続は、法務局でも案内を受けられます。
※本記事の内容は、法務省・法務局「相続登記の申請義務化」「相続土地国庫帰属制度」「不動産登記のABC」、法務局「登記事項証明書のオンライン請求」、国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」、東京都主税局「固定資産 証明・閲覧とは」を参考にしています(2026年10月時点)。
家じまい相談
実家のこと、何から始めるか一緒に整理します
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