リースバックの是非。リースバックは行うべき?

リースバックは所有者にメリットのあるサービス?

住みながら自宅を売却できるリースバックをご存じでしょうか?
老後の資金繰りを改善する手法として、リースバックやリバースモーゲージ等がありますが、不動産所有者のメリット、リースバックを行う側のメリットはどういったことがあげられますでしょうか?

    

不動産所有者の高齢化に伴い、リースバック、リバースモーゲージといった言葉がメディアや不動産のチラシに取り上げられる回数も増えてきました。

〇そもそもリースバックとは何なのか?

リースバックとは今住んでいるご自宅を売却して、売却後は賃貸物件として住み続けることを指します。
自宅を売却して家賃を払うなんて一見無駄をしているように見えますが、リースバックを選ぶ人は増えています。ではなぜそのような選択をするのでしょうか?

【リースバックの仕組み】
売主(所有者) → 不動産の売却 → 買主(投資家)

売主(借主) ← 賃貸 ← 買主(貸主)

物件の所有者は不動産を売却した後に、新しい所有者との間で賃貸借契約を結び、
賃料を払う事で自宅に住み続けることが出来ます。

〇不動産所有者のリースバックのメリット

1.不動産の売却により一時的にまとまった現金が手に入る
2.建物の維持管理を貸主に委ねることが出来る
3.不動産の売却後も住み続けることができるので、買い替えや引越し先、施設の選定に時間をかけることができる

上記メリットを詳しく解説すると、
1.不動産の売却により一時的にまとまった現金が手に入る
→リースバックは日々の生活環境を変えずに生前に自宅を売却してまとまった資金を得ることが出来る方法です。通常の不動産取引でまとまった資金を得る場合は、自宅を売却して自分は別の場所に引越しをすることが前提となります。リースバックは賃貸物件としてそのまま自宅に住み続けることが出来る上、まとまった金額が手に入りますので、そのお金を自分で自由に使うことが出来ます。

2.建物の維持管理を貸主に委ねることが出来る
→通常生活でのお部屋の維持管理は借主が行う必要がありますが、例えば通常外壁や屋根といった建物に関わる部分の管理は貸主が行います。建物の維持管理に必要な突発的な費用の負担や煩わしさから解放されることをはじめ、認知機能や体力の低下等の兆候が現れた際の管理会社の役割を担ってもらう点もメリットがあります。

3.不動産の売却後も住み続けることができるので、買い替えや引越し先、施設の選定に時間をかけることができる
→リースバックは住みながら自分の不動産を処分しつつ、まとまったお金が入ってきますので買換え先の選定に時間をかけることが出来ます。また、二世帯住宅の建築資金や介護施設への入所待ちやその費用に充てることも出来ますので、今後の生活場所になり得る場所を時間をかけて選定することが出来ます。

〇不動産購入者のリースバックのメリット

1.不動産を購入した時点から家賃収入を得ることが出来る
2.リースバックの為、通常の不動産相場よりも安く購入出来る可能性がある
3.オーナーチェンジ物件と違って、入居中の状況を確認出来る可能性が高い

上記メリットを詳しく解説すると、
1.不動産を購入した時点から家賃収入を得ることが出来る
→売主(所有者)が賃借人になりますので、不動産を購入した時点から貸主と借主の関係になりますので、その後は毎月家賃収入を得られます。空き家を購入する場合は内装費用や募集費用、募集期間も発生する為、収入が得られるようになるまでの期間と費用を抑えることが出来ます。

2.リースバックの為、通常の不動産相場よりも安く購入出来る可能性がある
→入居中の物件で自用で使うことが出来ない為、住宅ローンを使用した実需向けの販売が出来ず、オーナーチェンジ物件と同等の価格帯の事が多いです。

3.オーナーチェンジ物件と違って、入居中の状況を確認出来る可能性が高い
→リースバック物件は売主が実際に住んでいる建物を売買しますので、物件を購入前に中を確認する等が行いやすいです。反対にオーナーチェンジ物件の場合は借主が実際に住んでいますので、ほとんどの場合で中を確認することが出来ません。(稀に許可を取って中を見れることはあります。)

〇リースバックのデメリット

リースバックのデメリットとしては、今まで住んでいた自分の家なのに、不動産を売却後は借主として家賃を払い続けなければいけない点があります。

リースバックを選択する人には事情があることがほとんどで、
・一時的にまとまったお金が必要
・将来を見据えて不動産を現金化
・債務超過による任意売却
等多様な事情があります。

リースバック時の家賃の支払いが仮に利回り8%程度とすると、売却後12年間住むとした場合には売却した代金が丸々家賃として消えてしまいます。
短期間のリースバックであれば、次の住まいをゆっくり探せるメリットが生かせますが、
長期間住み続けると考えるとリースバックは損してしまうものと認識した方が良いのかもしれません。

では本当に長期間のリースバックは損なのでしょうか?

〇長期間のリースバックについて

単純な金額面だけで考えると、リースバックは長く住めば住むほど損をしているように感じます。
実際利回り8%で12年間住むとするとほとんど売却したお金は家賃で相殺されてしまいます。

一時的にまとまった金額が必要だった場合はどうでしょうか?
例えば、売主(70歳)、必要なお金800万円、売買代金1,000万円、預貯金500万円、年金20万円/月、生活費15万円/月、家賃7万円のケースを考えてみます。
このケースでは必要なお金800万円を貯めるためには、残りの300万円を「年金-生活費=5万円」を貯金に回して5年間必要になります。
5年後の75歳の時に800万円を使うことが出来ますが、貯金はゼロになり、またその時の健康状態等不安な点もあります。
リースバックをした場合には、健康なうちに800万円を使うことが出来、貯金は700万円になります。
家賃の支払いが増えますので、毎月の支出は「年金-生活費-家賃=-2万円、年間で24万円」の支出になります。5年後の貯金は580万円、そのままの生活を続けると約24年生活することが出来ます。

5年後を比べると、リースバックをしなかった場合には貯金ゼロになりますが不動産は残ります。
(不動産のメンテナンスは自分で行う必要がありますので、突発的な費用の発生の可能性があります。)
リースバックをした場合には不動産はなくなりますが、貯金は580万円残ります。
(不動産のメンテナンスは貸主が行う必要がありますので、突発的な費用の負担はほとんどありません。)

こう考えてみるとリースバックをした方が損ではなく得では?と思えてきますが、
考え方(捉え方)次第だと思います。
資産としてはリースバックをしない方が残りますが、使えるお金としてはリースバックをした方が残ります。
自分で資産を使うのか、子孫に資産を残すのか、
その辺りの考え方と将来不安に対しての考え方は人それぞれですのでどちらが良いとは言えませんが、
考えるきっかけになればと思います。

〇不(負)動産を残さない為のリースバック

金銭的な面でのリースバックについては、前項までで解説してきましたが、
相続、しいては不(負)動産を子世代孫世代に残したくないという考えでリースバックを行うケースもあります。

どういうことかというと、
将来重荷になりそうな不動産(自宅)を生前に(売却できるうちに)処分をし、自分はそのまま自宅に住み続けるといったケースです。

通常相続が発生すると「自宅はだれが相続するのか」「売却するのか、維持をするのか」「不公平感はないか」等相続人の間で話し合いが行われます。
トラブルが発生しなさそうであれば問題ないと思いますが、「トラブルが予見しそう」、「煩わしい手間をかけさせたくない」といった場合では心情的な意味でリースバックをした方が良いケースかと思います。
エリアによってはリースバックの状態では収益物件としての売却が期待できますが、放置された空き家となってしまった場合では売却しようにも売却できない(無料でもいらない)といった事も起こりえます。
また、売却したくても認知症が発症して売却できないといった事情もありますので、不動産の身辺整理の意味合いを含めたリースバックの活用というのも一つの方法かと思います。

〇リースバックの相談はアソシオへ

アソシオでは任意売却物件やリースバック物件の買取や仲介も行っています。
相続対策として所有し続けていた方が良い場合や生前に整理した方が良い場合等、客観的にアドバイスさせて頂いています。
ご自宅の今後をどうするか考えるきっかけになれればと思いますので、少しでも悩みがあるようでしたら、ご相談、ご質問等お気軽にお問い合わせください。

株式会社アソシオ
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