繁忙期の前に、空室対策として何をしておけばいいのでしょうか

所有しているアパートに空室が出そうです。賃貸は1〜3月が忙しい時期と聞きますが、いまのうちに何を準備すればいいのでしょうか。

こんにちは。繁忙期は引っ越しが増える時期として知られています。その前に整えておくことが、実はいくつかあります。
一般に、賃貸の動きが活発になるのは1〜3月ごろといわれます。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告では、市区町村をまたいで住所を移した人は、2025年3月に約90.5万人と、5月(約38.3万人)の2倍以上でした。これは賃貸に限らない数字です。この時期に募集の準備が間に合っていないと、探している人に見てもらう機会を逃すことがあります。
この記事では、繁忙期に向けた準備を4点に分けて整理します。募集条件の見直し、原状回復と設備の手入れ、写真と図面、管理会社との打ち合わせです。あわせて、最近の賃料の動きも公的な資料で確認します。
まず、いまの賃料の動きを確認しておきましょう

そもそも、いまの賃料は上がっているのですか。うちの部屋にも当てはまりますか。

公表資料で見ると、募集賃料は上昇傾向にあります。ただし、物件ごとの事情で当てはまり方は変わるので、目安として見てくださいね。
内閣府の資料で見る東京都の募集家賃
内閣府「今週の指標 No.1422」(2026年8月20日)によると、空室の募集時に示される家賃(募集家賃)は、2016年第1四半期(1〜3月)を100とした指数で、2026年第2四半期(4〜6月)の東京都は128.8でした。前の年の同じ時期との比較では、7.6%の上昇です。同資料は、東京都全体では高い伸びが続いていると整理しています。
この指数は、リクルートから提供された、物件の募集時の家賃データにもとづくものです。実際に契約された家賃とは異なります。また同資料は、募集家賃は、すでに入居している人の家賃の動きに先行すると考えられる、としています。募集する立場では、募集賃料の動きが参考になります。
間取りのタイプで動きが違います
同じ資料では、前の年の同じ時期と比べた伸び率が、間取りタイプ全体で見ると都区部は横ばい、市町村部は上昇とされています。ファミリー向けの都区部ではやや低下という整理です。これはあくまで前年同期比の伸び率の動きを示したものです。同資料は全体として、都区部を中心に高い伸びが続いていると整理しています。

間取りのタイプや地域で、動きが違うんですね。

はい。ご自身の部屋がどのタイプに近いかで、見方も変わります。周辺の募集状況とあわせて、賃料を考えたいところです。
募集条件(賃料・初期費用)を見直す
賃料が上がっている局面でも、周辺の募集と比べて割高であれば、内見の数が伸びにくくなります。反対に、下げすぎれば収支を圧迫します。賃料は、周辺の募集事例と空室期間、リフォーム費用を並べて考えるのが基本です。
空室期間・募集賃料・リフォーム費用を収支の例で比べる考え方は、東北沢駅周辺の賃貸物件の募集ならアソシオにお任せ下さい!でも紹介しています。2022年の記事で数字は例示ですが、考え方は今も使えます。
すでに入居中の方の賃料見直しは、募集賃料とは進め方が異なります。更新時の見直しについては、家賃の値上げは更新時にできる?オーナーが知りたい進め方をご覧ください。
初期費用で見直せる点
賃料そのものを動かさなくても、募集条件には調整できる点があります。たとえば、敷金や礼金の設定、フリーレントの有無などです。敷金は、家賃の未払いや借主が負担すべき修繕費などに備えて預かり、退去時に差し引いた残りを返すお金です。礼金は、慣習として貸主に支払われ、返還されないお金です。フリーレントは、入居後の一定期間の賃料を無料にすることです。ただし、条件を緩めるほど収入は減るため、空室が続いた場合の損失と見比べて決めましょう。
募集条件を見直すときの視点
- 賃料は、周辺の募集事例・空室期間・リフォーム費用をあわせて考える
- 賃料を動かさず、フリーレントなどで入り口を整える方法もある
- 条件を緩めたときの収入減と、空室が続く場合の損失を見比べる
原状回復・設備・募集写真の準備を整える
原状回復とは、借りたときの状態にそのまま戻すことではありません。国土交通省のガイドラインでは、借主の故意・過失や、注意を怠ったこと(善管注意義務違反)、通常の使い方を超えた使用による傷み・汚れを元に戻すことをいいます。時間がたつことによる傷み(経年変化)や、普通に暮らしていて生じる傷み・汚れの修繕は、原則として貸主(オーナー)の負担とされています。借主の不注意や通常の使い方を超えた汚損・破損は、基本的に借主の負担です。
2020年4月施行の改正民法(621条)でも、通常の使用による損耗や経年変化は、借主が元に戻す義務を負わないと明記されました。借主の負担となる場合でも、経過年数に応じて負担の割合が小さくなる考え方があります(襖紙・畳表などの消耗品は除きます)。また、契約でガイドラインと異なる取り決め(特約)が定められることもあります。退去時の立ち会いで写真を残し、どこまでが借主負担かを整理しておくと、後のトラブルを避けることにつながります。

なるほど。退去後の修繕は、負担を分けて考えるのですね。

そうです。その上で、給湯器やエアコンなどの設備は、繁忙期の前に動作を確認しておくと安心です。入居者が決まってから不具合が見つかると、対応が慌ただしくなります。
募集写真と図面も見直しましょう
部屋を探す人は、まず写真と図面で候補を絞ることが多いものです。写真は、掃除を終えた明るい状態で、水まわりや収納まで撮っておくと伝わりやすくなります。図面は、間取りや設備の記載が現状と合っているか確認してください。古い情報が残っていると、内見後のミスマッチにつながります。
管理会社との打ち合わせは早めに
繁忙期は仲介会社も忙しくなります。募集の方針や賃料の考え方、リフォームの範囲は、繁忙期に入る前に管理会社と話しておくと、進めやすくなります。退去の連絡を受けてから動くより、あらかじめ方針を決めておくほうが、空室期間を短くすることにつながります。
入居者の幅を広げる方法の一つとして、高齢の方に貸す場合の制度も知っておくと役立ちます。仕組みは、高齢の方に部屋を貸すのは不安?居住サポート住宅の仕組みと確認点で整理しています。
繁忙期前のチェックリスト
- 周辺の募集賃料と空室期間を確認した
- 賃料・初期費用の方針を決めた
- 原状回復の範囲と設備の動作を確認した
- 写真と図面を最新の状態にした
- 管理会社と募集の進め方を話した

やることが整理できて、少し落ち着きました。

それはよかったです。まずは周辺の募集状況を見るところから始めてみましょう。迷ったときは、アソシオにご相談くださいね。
まとめ
この記事のまとめ
- 繁忙期とされる1〜3月に向けて、募集条件・原状回復と設備・写真と図面・管理会社との打ち合わせの4点を整える
- 内閣府によると、2026年第2四半期の東京都の募集家賃は前年同期比で7.6%上昇した
- 伸び率は間取りタイプや地域で違いがあり、掲載されている賃料は募集時のもので、契約賃料とは異なる
- 原状回復の負担は、民法621条と国土交通省のガイドラインの考え方を目安に、契約内容とあわせて確認する
原状回復の負担や契約内容に関わる判断は、個別の事情で変わります。実際の判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。
※本記事の内容は、内閣府「今週の指標 No.1422 2026年第2四半期の家賃動向」(2026年8月20日)、総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年3月結果(2025年4月24日公表)・5月結果(2025年6月26日公表)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年8月)および同参考資料(2023年3月)、国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)」(2022年3月)、民法621条・622条の2を参考にしています(2026年10月時点)。
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