空き家や使っていない部屋を民泊で貸す前に、何を確認しますか
実家が空いた、子どもが独立して部屋が余った。そんなとき「民泊で貸せないか」と考える方は少なくありません。ただ、民泊には国の法律と、区ごとの条例の両方が関わります。

空いている部屋を民泊にしたいのですが、届け出れば誰でもできるのでしょうか。

届出は必要ですが、それだけでは足りません。民泊は場所と営業日数にルールがあり、世田谷区は条例で上乗せの制限もあります。
この記事では、民泊の主な3つの形、住宅宿泊事業の届出と年180日の上限、世田谷区の条例、定期借家との比較を整理します。なお、制度は変わることがあります。この記事は2026年11月時点の公的な情報に基づきます。
民泊には3つの形があります
一般に「民泊」と呼ばれるものは、法律上は主に次の3つに分かれます。観光庁の民泊制度の案内では、手続きと日数の制限が次のように整理されています。
| 形態 | 手続き | 営業日数の制限 |
|---|---|---|
| 住宅宿泊事業(民泊新法) | 届出 | 年間180日以内 |
| 旅館業法の簡易宿所 | 許可 | なし |
| 特区民泊(国家戦略特区) | 認定 | 年間の上限なし(滞在日数の条件あり) |
簡易宿所は、日数に上限がない代わりに、設備の基準などを満たして許可を受ける必要があります。また、用途地域によっては簡易宿所の営業ができない場合があります。特区民泊は、国の特区で自治体が認定する制度です。内閣府の資料(2026年6月30日時点)では、東京都内の実施自治体は大田区で、世田谷区は含まれていません。
住宅宿泊事業の届出と年180日の上限
届出の基本
住宅宿泊事業は、住宅を宿泊用に貸す事業です。許可ではなく届出で始められ、届出は国の民泊制度運営システムからインターネットで行うほか、窓口(予約制)でも受け付けています。世田谷区では世田谷保健所が届出先で、開始予定日の10営業日前までに届け出る案内があります。
年180日という上限
1年間に宿泊させられるのは180日以内です(自治体の条例で、さらに限られる場合があります)。180日を超える分の期間をどう使うのか、別の使い方を考えるのかは、事前に考えておきたい点です。
ここがポイント
住宅宿泊事業は届出で始められますが、年180日以内の上限があります。さらに、自治体の条例で営業できる期間が制限されることがあります。
世田谷区の条例で、住居専用地域は何が制限されるか
住宅宿泊事業法では、自治体が条例で区域を定めて、営業できる期間を制限できます。世田谷区の公式ページによると、現在の区の条例では、次のような制限があります。
- 住居専用地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域の4種類)では、月曜日の正午から土曜日の正午まで、原則として住宅宿泊事業を実施できません
- ただし、この期間に休日(国民の祝日・振替休日など)がある場合、その休日の正午から翌日の正午までは制限されません

では、住居専用地域だと、貸せるのは週末だけということですか。

原則としては、土曜日の正午から月曜日の正午までと、休日の期間が中心になります。お持ちの土地が住居専用地域かどうかで、貸せる日が大きく変わります。まず用途地域を確認し、世田谷区に相談するのが安心です。
用途地域は、区が案内している地図サイト「せたがやiMap」で確認できます。ご自身の物件の扱いに迷うときは、アソシオにもご相談ください。
条例改正の行方は、区の発表を確認しましょう
世田谷区は2026年9月に、旅館業法と住宅宿泊事業法に関する条例改正の素案を公表しました。その後、10月20日付で素案を「より厳しく見直す」と発表しています。区の公式ページから確認できる内容は、次のとおりです。
- 住居専用地域での住宅宿泊事業は、新たな開設を原則認めない(家主居住型等を除く)
- 家主不在型については、宿泊者の入退室を確認できる防犯カメラ等の設置の義務付けや、区民からの相談窓口の整備などを盛り込む方向で検討
- 事前周知、ごみの適正処理、苦情対応、駆けつけ体制の確保など、事業者に求めるルールの強化は継続
見直し後の改正案は、区民と区議会に「改めて」示すとされていますが、具体的な日程は公式ページには書かれていません。そのため、いつから、どの内容で施行されるかは、2026年11月時点では確定していません。
改正の情報について
報道やブログには、日数などの細かい数字を伝えるものもあります。ただし、区の公式ページで確認できない内容は、この記事では扱っていません。計画を立てる際は、世田谷区の最新の発表をご確認ください。

制度が変わるかもしれないなら、民泊の準備は待ったほうがよいのでしょうか。

待つかどうかより、民泊以外の選択肢も並べて比べるのがおすすめです。次の章で、定期借家やマンスリー賃貸との違いを見てみましょう。
民泊と定期借家・マンスリー賃貸を比べる
民泊は、予約の受付、清掃、近隣対応などの手間がかかります。これに対し、家具家電付きの定期借家として貸す方法があります。定期借家は、更新のない、期間を定めた賃貸借契約です。1年未満の期間も定められます(書面による契約と、事前の説明書面の交付が必要です)。期間が満了したあとも、貸主と借主が合意すれば、改めて契約を結ぶことはできます。詳しくは「定期借家契約ってどれくらいの期間から?」で解説しています。
| 項目 | 民泊(住宅宿泊事業) | 定期借家・マンスリー賃貸 |
|---|---|---|
| 手続き | 届出(保健所) | 賃貸借契約(定期借家) |
| 貸せる日数 | 年180日以内、条例の制限あり | 契約期間のあいだ(日数の上限なし) |
| 運営の手間 | 予約・清掃・近隣対応が多い | 入居中は契約に沿った管理が中心(入居者の入れ替えは民泊より少ない傾向) |
| 収入のイメージ | 宿泊日ごとに変動しやすい | 毎月の賃料で見通しを立てやすい |
すでに民泊に使っている施設を、家具家電付きの定期借家に転用する方法もあります。なお、事務所など住まい以外の用途で貸す場合は、用途地域による建築上の制限がないか、事前に確認が必要です。アソシオでは、空き家や使っていないお部屋の貸し方(賃貸での活用)のご相談もお受けしています。

民泊をやめて、貸し方を変える選択もあるのですね。

はい。空き家を放置すると維持の負担も続きます。管理や税金の面は「実家を空き家のまま置くと固定資産税は上がる?」も参考になります。
まとめ

民泊も賃貸も、まず確認から始めればよいのですね。

そのとおりです。用途地域、区の条例、年180日の上限を確認し、民泊と賃貸を並べて比べると、無理のない計画が立てやすくなります。
この記事のまとめ
- 民泊は住宅宿泊事業(届出・年180日以内)、簡易宿所(許可)、特区民泊(認定)に分かれる。世田谷区は特区民泊の実施区域に含まれない
- 世田谷区の現行条例では、住居専用地域は月曜正午〜土曜正午の営業が原則できない
- 区は2026年10月20日付で改正素案を「より厳しく」見直すと発表。施行時期などは未確定
- 定期借家・家具家電付き賃貸への転用も、選択肢のひとつ
法律や条例の適用は、物件の場所や状況によって異なります。実際の判断は、世田谷区や保健所、弁護士などの専門家にご確認ください。
空き家の活用方法でお悩みなら、世田谷区の空き家・家じまいのご相談もご利用ください。
※本記事の内容は観光庁「民泊制度ポータルサイト」、内閣府「特区民泊の実績」(2026年6月30日時点)、世田谷区「住宅宿泊事業(民泊)について」「住宅宿泊事業法・旅館業に関する条例改正(素案)をより厳しく見直します(令和8年10月20日)」、世田谷区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例、e-Gov法令検索(住宅宿泊事業法・借地借家法)を参考にしています(2026年11月時点)。
賃貸オーナー様へ
空室・管理のお悩みはご相談ください
入居者募集から日々の管理、売却や活用のご相談まで、オーナー様の状況に合わせてご提案します。
お電話でも受け付けています 03-5738-5622営業時間は9:00〜18:00、水曜日は14:00まで、日祝は定休。定休日のご案内は事前予約にてご相談ください。

