家の査定額が会社によってバラバラ。どれを信じればいい?

家の売却を考えて何社かに査定を頼んだところ、金額がかなり違いました。どの会社の数字を信じればよいのでしょうか。

査定額に差が出るのは、よくあることです。大切なのは金額の高さよりも、その数字がどんな根拠でできているかです。
この記事では、査定額が会社によって違う理由と、査定書で見ておきたいポイントをまとめます。あわせて、査定額・売り出し価格・成約価格の違いや、依頼先の考え方もお伝えします。査定の結果を落ち着いて読むための手がかりにしてください。
査定額が会社によって違う3つの理由
理由1:査定の方法が複数あり、物件の種類で使い分けるため
不動産の査定には、いくつかの考え方があります。マンションや土地では、似た物件の取引事例と比べる方法が中心です。建物は、今あらためて建てるとしたらいくらかを出し、年数や状態による価値の減少分を差し引く方法が使われます。
| 方法 | 考え方 | 主に使う対象 |
|---|---|---|
| 取引事例比較法 | 似た物件の過去の取引と比べ、違いを補正して価格を求める | マンション、土地 |
| 原価法 | 今、同じ建物を新しく建てると仮定した費用から、年数や状態による価値の減少分を差し引く | 戸建ての建物 |
| 収益還元法 | 将来見込まれる収益(家賃収入から経費を引いたもの)をもとに価格を求める | 主に投資用・賃貸用の物件 |
戸建ては、土地を取引事例比較法、建物を原価法で求めて合わせる形が一般的です。マンションは取引事例比較法が中心です。不動産会社が使う価格査定マニュアル(不動産流通推進センターが提供する査定の手引き)も、住宅地とマンションは事例比較、戸建ての建物は原価法という構成です(2026年11月時点)。
理由2:どの事例を選び、どう補正するかが違う
同じ方法でも、結果は同じになりません。比べる事例の選び方が、会社ごとに少しずつ違うからです。

同じマンションなのに、会社ごとに違う事例を使うことがあるのですか。

はい、あります。取引した時期や階数、向き、広さが少しずつ違うので、どれを近い事例とみなすかで差が出ます。事例との違いを補正する幅にも、会社の判断が入ります。
補正とは、事例と自宅の違いを価格に反映する調整のことです。たとえば日当たり、眺望、リフォームの有無、管理状態などが対象になります。ここに担当者の経験や、地域の動きの読み方が表れます。
理由3:「いくらで売れる見込みか」の見立てが違う
査定額は、一般に「このくらいの期間なら、このくらいで売れそうだ」という見込みの価格です。急いで売るのか、時間をかけるのかで、見立ては変わります。
さらに、会社の持つ情報も異なります。最近の成約の動きや、いま購入を探している方の声をどこまで把握しているかで、数字がずれることがあります。
机上査定と訪問査定は何が違う?

査定には、机上査定と訪問査定があると聞きました。どちらを頼めばよいのでしょうか。

目的によって使い分けます。まず目安を知りたいなら机上査定、売却を具体的に考えるなら訪問査定が向いています。
| 机上査定 | 訪問査定 | |
|---|---|---|
| 方法 | 物件情報と周辺の事例から算出する | 室内や周辺環境を実際に見て算出する |
| 日数の目安 | 比較的短い | 訪問と確認のぶん、日数がかかる |
| 見てもらえる点 | 登記や間取りなどの情報 | 日当たり、設備、傷み、リフォーム状況など |
| 向いている場面 | 売るかどうかを考える前の目安づくり | 売り出し価格を決める段階 |
机上査定は、室内の状態が反映されません。そのため、幅のある数字になりやすい点は知っておくとよいでしょう。簡単な説明は相場の見方と価格の決め方の記事でも触れています。
査定書で見ておきたい「根拠」のチェックポイント
宅地建物取引業法では、不動産会社が媒介契約にあたって売買すべき価額(または評価額)について意見を述べるとき、その根拠を明らかにすることが求められています(第34条の2第2項)。国土交通省の解釈では、根拠は価格査定マニュアルや、同種の取引事例などで示すものとされています。口頭でも書面でも構いませんが、書面で示す場合は、不動産鑑定士による鑑定評価書ではないことを明記することとされています。

根拠を聞いてよいのですね。査定書のどこを見ればよいのか、知りたいです。

もちろんです。次の4点に注目すると、数字の中身が見えてきます。わからない言葉は、その場で遠慮なく聞いてください。
査定書で確認したい4つのこと
- 比べた事例はどれか(場所、広さ、築年数、取引した時期は自宅と近いか)
- 事例との違いを、どんな理由で上げ下げしたか(補正の理由)
- 事例が直近のものか。数年前の取引が混ざっていないか
- 現在売りに出ている物件と、どう見比べているか
事例が少なすぎたり、条件が大きく違っていたりする場合は、数字の幅が広がります。その点を説明してくれるかも、見ておきたいところです。なお、不動産会社の査定は、不動産鑑定士による「鑑定評価」とは別のものです。
査定額・売り出し価格・成約価格の違いと、依頼先の選び方
3つの価格は別のもの
| 名前 | 意味 | 決める人 |
|---|---|---|
| 査定額 | 売れそうな価格の見込み | 不動産会社 |
| 売り出し価格 | 広告に出す価格 | 売主(会社と相談) |
| 成約価格 | 実際に契約した価格 | 売主と買主 |
査定額は約束された金額ではありません。売り出し価格を決めたあと、買主との話し合いを経て成約価格が決まります。流れ全体は売る流れと媒介契約の記事にまとめています。
高い査定額だけで依頼先を決めない
高い査定額は魅力的に見えます。ただ、その金額で売れる保証にはなりません。根拠が薄いまま高めに設定すると、反応が少なく、あとで値下げを重ねることもあります。
比べるときの見方
金額の順位ではなく、根拠の説明がわかりやすいか、質問に丁寧に答えてくれるか、売り出し後の進め方まで示してくれるかを見比べると、納得しやすくなります。
首都圏の中古マンション市況も踏まえて
東日本レインズの月例速報(2026年9月度、2026年10月公表)では、首都圏の中古マンションの成約件数は3,457件で、前年同月より22.7%減でした。在庫件数は50,450件で、15.1%増となっています。これは首都圏全体の数字で、地域や物件の条件によって動きは異なります。1か月の数字だけで判断せず、数か月の流れで見ることが大切です。
売り物が増え、成約が減っている時期は、買主が比べて選びやすくなる傾向があります。そのため、根拠のある価格設定がより大切になります。最新の月の数字は、東日本レインズのサイトで確認できます。見方はこちらの記事も参考にしてください。
なお、売却で手元に残る金額は、仲介手数料や税金で変わります。費用と税金の記事もあわせてご覧ください。

金額の差に振り回されなくてよいと知って、少し安心しました。

次の一歩は、手元の査定書を見直すことです。比べた事例と補正の理由に印をつけて、気になる点を担当者に質問してみてください。急いで決める必要はありません。
まとめ
この記事のまとめ
- 査定額が違うのは、方法、事例の選び方、補正、売れる見込みの見立てが会社ごとに異なるためです。
- 机上査定は目安づくり、訪問査定は売り出し価格を決める段階に向いています。
- 査定書では、比べた事例と補正の理由、事例の新しさを確認しましょう。
- 査定額、売り出し価格、成約価格は別のものです。
- 高い金額だけでなく、根拠の説明で依頼先を比べると納得しやすくなります。
アソシオは、東北沢・代々木上原を拠点とする不動産会社です。レインズへの登録や他社への情報公開を迅速に行い、情報の囲い込みはしません。査定書の読み方など、売却のご相談もお気軽にどうぞ。税金や法律が関わる点は、司法書士・税理士など専門家と連携してご案内します。
※本記事の内容は、宅地建物取引業法第34条の2(e-Gov法令検索)、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)、国土交通省「不動産鑑定評価基準」、東日本レインズ「月例速報 Market Watch」2026年9月度(2026年10月13日公表)、国土交通省の不動産流通市場に関する資料(価格査定マニュアルの概要)を参考にしています(2026年11月時点)。
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